しみ取りについて

しみ取りについて、クリニックホームぺージでの説明の補足を二つほど。

この方は、しみ取りご希望でいらっしゃいました。

QスイッチYAGレーザーで主だったしみを焼いて一週間後です。焼けた古い肌が剥けてきれいになりました。(焼いたところはピンク色になっています。左下にひとつ、まだ取れてないかさぶたがくっついてますが、1日後には取れてるはずです)

3年後にいらっしゃいました。またしみが出てきたので焼きたいとのこと。
ここで、注目していただきたいのは、前に焼いてしみを取ったところからは、新たなしみは出来ていないということです。
赤矢印は、前に取った大きなしみの周辺に、新たにしみがでてきた部です。
青矢印は、3年前には、まったく無かった部に出てきた新しいしみ、緑矢印は、以前薄かったしみが濃くなってきたものです。
しかし、3年前に焼いてしみを取ったところからは、まったく新しいしみは発生していません

確認しやすいように写真を並べてみました。

これは、どういうことかというと、しみというのは、老化してメラニンを処理できなくなった表皮細胞の集まりなのですが、これを焼いて新しい表皮に置き換えますと、新しい表皮というのは、それまで紫外線に暴露されていませんから、しみにはなりにくい、ということです。
一方、3年前には、まだしみになっていなかった周辺の皮膚は、それまでの数十年間、紫外線に暴露された履歴がありますから、加齢とともに、3年後に、あらたなしみとなって現れることがあります。

言い換えますと、一度レーザーで取ったしみは再発しません。しかし、その周辺の、一見正常であった部から、後年しみが出てくることはありえます。
ですから、理論的には、顔面全部を、レーザーで焼いてしまえば、まったく赤ちゃん肌に戻ってしまうので(紫外線に当たった履歴が全部消去される)、その後数十年は、新たなしみに悩まされることはない、ということになります。・・やったことはないですが。。
まあ、車の車検と同じに考えて、一度オーバーホールしたあとは、2~3年に一度、ちょっと美容院に行って髪切ってくるくらいの気軽な気持ちで、レーザーでしみとりにいらっしゃるくらいの感覚が正解だと思います。

もうひとつ。このかたは、よそのクリニックで頬のしみを取ってもらいました。しかし、目周りのそばかす様のしみは、そこでは「取れない」と言われたそうです。
取れないわけはないので、お取りしました。

斜めから見たところ。
 
取ったあとです。若干、境界のはっきりしない、色ムラっぽい部分は残ってます(取ってない)が。・・ここも当てれば取れるんでしょうが、目立つところほぼ全部レーザー打って取ったつもりでも、一週間後に見ると、それまで目立っていたしみに隠れていた部分が残っていて、気になることはあるんです・・
どうしても気になる場合は、一週間後に追加でお取りするのですが、はじめ気になっていた目立つしみは取れてたのだから、あんまり苦にしないほうがいいんじゃないかと思います。・・というのは、上で説明したように、2~3年すると、たぶん他のまったくしみの無かったところから、新たなしみが出てくるかもしれませんから、そのときに、またまとめて取ればいいと思うんですよね。でないと、どんどん気になってしまって、結局顔全体レーザー打たないと気が済まなくなるんじゃないかと。

上述したように、「顔全部に打つ」というのも、ひとつの考え方ではありますが、やったこと無いし、術後のほてりとか、けっこう負担は大きいと思うし。
それよりも、「しみが出来たら、ときどき取りに行こう」くらいに、気軽に構えていただいたほうが良さそうに思います。うち、そんなに高くないし。御紹介したお二方とも、全部取って5万円です。

あとのかたが、他のクリニックで「目周りは取れない」と言われたのは、なぜかは解りませんが、目周囲はあぶないと躊躇されたのかもしれませんし(慣れたひとが注意深くやればあぶなくないです)、ヘッドの大きなレーザー機械で、目の周りには当てにくかったのかもしれません。

ほかにも、「色の薄いしみは取れない」とか、極端な話、「しみは取れません!」と言う先生もいるらしいですが、それは、その先生の持ってる機械の性能の問題とか、単に「めんどくさい」(保険診療の皮膚科の先生なんかで、たまにそういうひともいるみたいです)からじゃないかと思われます。取れないしみは無いですよ。また、ちゃんと勉強している親切な先生であれば、自分のところの設備や技量で対応できない場合は、できるところを紹介してくださるはずです。
 
最後に、写真の使用にご快諾いただきましたお二人の方に感謝します。これらのお写真で、きっとひそかに悩んでる多くのひとが救われることと思います。
(2009年2月27日記)