肝斑の治療・その4

 肝斑の治療についての一考察といいますか・・
下記写真ご覧ください。典型的な肝斑です。

肝斑の色というのは、均一ではなく、その中に、色の濃い、ソバカスのようなところがあることが多いです。ここを先ず、QスイッチYAGレーザー(532nm波長)で、焼いてやります。下写真は施術直後です。

下写真は施術一週間後です。ソバカスやしみが取れるのと同様に、色の濃かった部分が取れて白くなりました。

 そのあと、カーボンレーザーピーリングを、月1回×4回繰り返した結果です。Qスイッチレーザーで焼かなかった部分の肝斑も、かなり薄くなりました。
 ハイドロキノン軟膏は、差し上げてはいますが、量としては5g/1~2ヶ月と少なく、この量で、これだけ肝斑が薄くなるとは、経験的に考えにくいです。

 これは、この方が、特別良い経過であったから紹介しているのではありません。この方が、たまたま写真の使用を御快諾していただけたので、提示しています。ほかに同様な症例を10人くらい経験してるので、一般論として普遍化できると考えて、ここに記しているわけです。
 肝斑のなかの、濃いソバカスのような点々をQスイッチYAGレーザーで焼き取ったあとで、カーボンレーザーピーリングを繰り返していくと、肝斑は薄くなっていきます。この点々が何なのか・・?肝斑の中で、とくにメラノサイト密度が高く、ホルモン感受性の高い、いわば、肝斑のメラニン製造拠点、司令塔みたいなところなのかなあ?と想像しています。
 肝斑全体を、面として焼いたら、駄目なんですよ。面として全体を焼くと、炎症後色素沈着(戻りじみ)も強く出るし、良くないです。肝斑が「怒り」ます。この、黒いポチポチだけ焼く分には、肝斑は「怒り」ません。なおかつ、あらかじめ焼き取っておくと、肝斑の治まりがいいみたいです。
 手元に冊子が見つからなくて恐縮なんですが、何ヶ月か前の美容外科の学会演題に、ちょうど同じような話が出てて、「ああ、やっぱりそうなのかなあ」とも思いました。
 むかしは、こういうことに気がつくと、すぐに「学会で発表しておこう」と、思い立ったものですが、最近は、あまりそういう気も起きなくなってきました。
 インターネットとかブログとか、便利なツールが一般的になってきて、他の先生がたや患者さんたちへの、情報伝達が、圧倒的に効率良くなってきましたもんね。
 何がしか、世の中の役に立ちそうなこと気が付いたら、誰か必要としているひとに伝えたくなるのは人情てもんです。

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 クリニック待合のソファを張り替えました。開院して6年、一度入れ替えているので、今回で2回目です。

 生花は、欠かしません。活きたお花はやっぱりいいですね。冬は週一回、夏は週二回、近くのお花屋さんに届けてもらって、スタッフが活け変えてます。

 お花を綺麗に活けるように、お客様のお役に立てることが、わたしの喜びです。

 むかし、病気を治すお医者さんをしていたころに、根を詰めすぎて体を壊しました。
自分自身を癒すために、ゆっくりと丁寧に少数の患者というかお客様をお迎えしようと思って、このクリニックを作りました。
 わたしは宗教を持ちませんが、この小さなクリニックでの生活そのものが、わたしにとっては、神様にささげる祈りのようなものです。
 過労のころは、仕事が辛かったです。いまは、仕事に喜びを感じられるまでに、回復しました。

 いつか、自分も年をとって、手先が動かなくなったりして、仕事を離れる日が来るのでしょうが、それまでは、この小さな白い修道院のようなクリニックで、日々の生活という、祈りを捧げ続けたいと思っています。
(2010年3月3日記)