中国からのメディカルツアー


 4月から、中国からのお客様を、2ヵ月に1回、お迎えすることになりました。香港・広東省の富裕層の方々が、日本へのツアーをかねて当院に主に糸の施術(エックストーシス)にいらっしゃいます。
 広東省というのは、地図で言うと、中国の南のほうで、香港の対岸一帯に広がっています。


 広東省のGDPは23年連続で中国のトップを続けています。毎年10%づつ増加しています。


 国民一人当たりに換算すると、4000米ドル(32万円くらい)です。一人当たりGDPというのは、その国の人が、年間平均いくら遣うか、という目安になります。日本は2011年で407万円です。広東省の一人当たりGDPは日本に比べるとまだまだですが、GDPが上昇傾向ということは、消費意欲が高いということです。また、日本よりもはるかに貧富差が大きいらしいですから、富裕層の消費意欲は相当なものなのでしょう。

 今回は2回目のツアーです。わたしの横にいらっしゃる方が、エックストーシスでたるみを引き上げて、その直後です。待合で休んでいるところ。左端は妹さんなので、元々のたるみ具合が推測できるでしょうか。


 黄色いシャツを着ているおじさんは、ただの人に見えますが、これが随分偉いかたのようで、百達生物科技投資集団有限公司という、広東省に1000軒のSPA(日本のエステと美容皮膚科を混ぜたようなものらしい)を展開する会社の総裁(President=社長)です。台湾出身でシンガポール在住のお医者さんでもあります。
 もっともこの方は、会社のオーナーという訳ではないようで、4月にいらっしゃったときには、そのオーナーの奥さんがいらっしゃって、エックストーシスを受けていかれました。
 百達生物科技投資集団有限公司のパンフレット中の黎先生。向こうは日本と違って、エステや美容皮膚科(脱毛やレーザー施術など)が、会社経営で展開できるようで、成功すると、こういう巨大なグループに成長するということなんでしょう。


 こちらは、また別のお客様。お顔と脚のしみを取りました。・・しみ取りくらい、中国でも出来そうなものですが、「日本に行ってやってきた」というブランド的な優越感なんでしょうね、きっと。日本という国はありがたいもので、私たちは、まだまだ先人、親の世代が作り上げた、日本の良いイメージのブランドの恩恵にあずかっていますから、これを大切に継承していかなければなりません。本当に財産だと思います。

 黎先生の目論見としても、「わが社は、日本の優良で信用できる美容外科とお付き合いがあり、メディカルツアーも定期的に行っている」ということをアピールして、中国国内での会社のイメージをさらに上げたいのでしょう。

 4月にいらっしゃった中国の富裕層のかたがたのエピソードをひとつ。初めてのことなので、私が名古屋を少し案内しました。

 「買い物がしたい」とおっしゃるので、栄のデパートにお連れしました。「どうですか?」「このショッピングモールは、何年か前に香港にあったけど、無くなった。」

 次に大須商店街を案内しました。古い街並みを物珍しそうに見てはいましたが何も買いません。

 たまたま、池下(名古屋の山の手、すこし高級な街です)に、知人がビルを建ててエステサロンを開業していたので、それを見せてあげようと思って池下に行ったところ、表通りの少し小奇麗なブティックに飛びつきました。いきなり日本語の話せない中国人が6~7人入って来て騒いでいったので、ブティックにはご迷惑だったことでしょう。

 ブティックから出て、目の前にある建設中の高級マンションを見て、「これを買いたい。ワンフロアいくらだろうか?

 知人のエステサロン見学にいった先でも、「このビルはいくらで建てたのか?」「窓から見えるあそこにあるマンションはいくらか?」そんな話ばかり。

 少し前だと、中国人、日本で化粧品やソニーの電化製品買ってたんでしょうが、いまや、富裕層の食指は、不動産なんですねー。不動産が「買い物」の対象。いや、勉強になりました。時代は変わります。

 このツアー受け入れる前に、黎先生に、「中国人のお客さんは、最近は多いけど、何人かで予約なしに来て、カウンセリングの半分以上がディスカウント(値引き)の交渉で、とても疲れる。実のところあまり気が進まない」とメールしたところ、一笑に付されて、
 「うちのクライアント(お客さん)は富裕層の人たちだから、そんな心配は無用だ。心配なら、施術代金を、年間何人分と決めて、前払いする契約にしてもいい。もし年間予定分の人数うちが送れなかったら、そんなことは有り得ないが、代金は返還しなくてもいい」とのことでした。そうかあ、これが中国人富裕層かあ。

 わたしが、ふだんクリニックで診てる中国人のお客さんも、それなりにリッチなんでしょうけど、メディカルツアーでいらっしゃる中国の方たちは、また格が違うみたいです。


これは、スタッフルームに張られた、簡単な中国語。
欢迎来到我们的诊所!(ようこそ私たちの医院へ)。
毎日、声に出して、自然に言えるように、皆で練習しています。
(2012年6月29日記)